初めてマーレを捉えた日 X-H2S

初めてマーレを捉えた日 X-H2S

FUJIFILM X-H2SのAIが不可能を可能にする

我が家の愛犬マーレ。犬種はブリタニースパニエル。
まあ、超のつくスポーツドッグで、奇想天外、トリッキーで、遥か彼方にいたかと思うと、気がつけば足元にいたり、動きのスピードはまさに瞬間移動。もう、ウソやろっと笑ってしまうくらい。
これまで様々なカメラで走るマーレを捉えようと試みるも追尾できるわけもなく、偶然ピントが合ってる写真があればそれで良しとしていた。

2022年5月31日に発表されたFUJIFILM X-H2S。
今回、X-Photographersの立ち位置からテスト段階から関わることとなり、マーレの超のつくスピードで動体テストを繰り返してきた。当初は旅客機や戦闘機などを捉えることでテストしていたものの、もはやそのあたりはなんの苦労もなくAF追尾できるものだから、ある意味テストの被写体にすらならなかった。
さらなる速い被写体としてトライする事となったのが我が愛犬マーレ。
そのX-H2Sによるマーレと格闘のエピソードである。

FUJIFILM X-H2S / XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR

体ではなく、顔でもなく、瞳を捉える。

マーレは中型犬の犬種ではあるものの、やや小ぶりで、さらに被写体として難しい黒い顔ときている。さらに走り方はウサギのようにやや飛び跳ねるように上下動もするものだから、ただファインダーの中に収めようとするだけでもかなりのスキルが必要となる。
横に移動する動体はある意味追尾しやすい。一度AFがあってしまえば、フレーミングさえ逃さなければ特に問題なく追い続ける。もちろんこれはこれで大変なことなのだが、X-H2Sにとって難しい問題ではなかった。とにかく最初のフォーカスキャッチが爆速なのである。
AFモードは「ゾーン」。AF-C。被写体検出は「動物」。
この設定で、シャッターに指をかければ迷うことなく瞬間マーレを捉える。あとはフレーミングを外さず撮り手が必死で追い続ければ、X-H2Sはなんの問題もなくに追尾し続ける。さらに途中障害物が横切っても、引っ張られることなく追い続ける。

問題は向かってくる被写体。
これは相当難しいと考えられる。さらにマーレは超のつく瞬間移動的なスピード。これは中々過酷なテストであった。もちろん難しい被写体であればあるほどテストするに値する。
向かってくる被写体というものは、常にフォーカス移動することになる。その移動距離は当然、近くなればなるほど大きい。そんなものどうやって追尾するのか??聞くところによるとそれはX-H2Sに搭載されているAIによって動体のスピードと移動距離を予測して追尾するというのだ。
X-H2Sの実機は開発途中のベータ機になるが、初期段階では中々簡単に捉える事は出来なかった。トライアンドエラーを繰り返し、ソフトウェアのアップデートごとに徐々に精度も上がり、ついに向かってくるマーレを追尾し続ける事が出来た。

FUJIFILM X-H2S / XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR

さらに驚くべき事はフォーカスポイントがしっかり眼に来ているという事。犬など動物の場合は、先端の鼻にピントが行きそうなものだが、しっかり動物の眼を認識してピントも眼を追尾しているのだ。これには正直驚いた。しかも眼のカタチ大きさに合わせて変化するという面白さ…。

グリーン枠はファインダー内の表示イメージ

テストは電子シャッターで20fpsで行った。俊速でトリッキーなマーレ。もちろん100%というわけには行かない。特に黒い顔に眼も黒い訳で、非常に難しい被写体であることは間違いない。
早い段階で逃してしまうこともあれば、終始フォーカスが来ない時もあった。しかし、一度失ったフォーカスを次のコマでは復帰している事もあり、フォーカス移動しながらも予測だけではなく常にピントを追う行為が続けられているのだろう。
開発段階において、ファームアップを繰り返しながら進化していくX-H2Sを見ていると、このカメラの持っているポテンシャルは底知れぬものがあり、ノビシロはまだまだあるのだろうと感じる。

FUJIFILM X-H2S / XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR
FUJIFILM X-H2S / XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR
FUJIFILM X-H2S / XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR
FUJIFILM X-H2S / XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR
FUJIFILM X-H2S / XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR
FUJIFILM X-H2S / XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR

キヤノンやニコン、ソニーなどのフラッグシップ機は、マーレを捉える事が出来るのだろうか?もしかするとこれ同等、いやそれ以上の追従性能を持っているかも知れない。しかし、X-H2SのAPS-Cによるアドバンテージは確実にあるだろう。そして感じるのは、高性能カメラの進化は無限だなと思う。
例えば被写体をAIによって人間の眼のように区別し認識出来れば、マニュアルフォーカスが当たり前の動画撮影も、オートフォーカスでフレーミングだけに集中して撮影することも出来るだろう。高度な撮影ほど、まだまだ撮り手のスキルが必要となる部分もあるが、カメラの高性能化やAIによってその部分が補われ、失敗のしない撮影が可能となれば、撮り手は感性の思うまま映像を思い浮かべ、どんな高度な撮影もカメラが叶えてくれる事になるだろう。
もちろん、高性能カメラが全て良しというものでもない。じっくりマニュアルでフォーカスを合わせ、被写体に向きあう撮影もいい。写真の楽しみ方は様々でさらに幅が広くなるという事だろう。

ひとつ残念だったことが…。
日ごろ超の付くかわいい顔でこちらを見ていたマーレだが、走ってる様子をスチールで捉えて見ると、えげつない表情だった(汗)

FUJIFILM X-H2S / XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR
FUJIFILM X-H2S / XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR
FUJIFILM X-H2S / XF16-80mm F4 R OIS WR
FUJIFILM X-H2S / XF16-80mm F4 R OIS WR
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